チャラカ・サンヒターの疫病の記述からアーユルヴェーダの深さをみる

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アーユルヴェーダの古典経典である『チャラカ・サンヒター』には流行病についての章があります(第3巻3章)。サンスクリットで「janapadodhwansa」と表現される流行病は、現代用語でいうと「エピデミック」です。エピデミックは一定の地域にある種の感染症が通常の期待値を超えて罹患する、またはこれまでは流行がなかった地域に感染症がみられる予期せぬ状況を意味します。現在の新型コロナウィルスの広がりは、エピデミックが同時期に世界の複数の地域で発生することを示すパンデミックの状態に近づいています(すでにパンデミックでは?)。

チャラカ・サンヒターでは、だれもが疫病に罹る要因として、空気、水、土地、季節の悪化を挙げています。そのなかで最も有害なのは季節の悪化です。古代は現代のような環境汚染はなかったと思いがちですが、環境悪化はあったのですね。そのなかで季節の悪化が最も影響が大きいというのです。ああ、確かにいまは季節の悪化がありますね。昨年のヨーロッパは40度を超える熱波に襲われました。日本では東日本が大洪水に見舞われました。チャラカ・サンヒターに書かれていることが今起きているのです。

空気、水、土地、季節の悪化の根本原因は、プラッギャーパラーダ(知性の誤り)が引き起こす今生の罪(アダルマ)あるいは前世の悪業だというのです。まあねぇ、現代人は悪業だらけですね。農薬もマイクロプラスチックも人間の行いです。

でも、絶望しなくていいらしいです。流行病を回避する方法があります。誠実に生き、生き物に同情の気持ちを持ち、正善行為を行い、マントラを唱え、禁欲生活を守り・・・・書き切れません。 こうしたサトヴィックな 行いはオジャスを高め、免疫力を強化してくれるのです。こういう行いをすれば「死ぬ運命にない人は容易に命を救うことができる」と書かれています。死ぬ運命にある人はなにをしても死ぬ運命なのか・・・

それにしてもアーユルヴェーダは奥が深いと驚嘆してしまいます。アーユルヴェーダというとオイルマッサージというイメージが強いですが、それだけではありません。生きていることのすべてをアーユルヴェーダは論じているのです。アーユルヴェーダが「人間の取扱い説明書」「人生の道しるべ」と言われる所以です。

アーユルヴェーダを知れば知るほど人生は豊かになります。

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