全土封鎖のインドにおけるアーユルヴェーダ医師たちの立ち位置

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インドはアーユルヴェーダが生まれた国でありながら、その医療体制は脆弱です。経済協力開発機構の調べによると、インドの1千人あたりの医師数は0.8人。日本は2.4人。この数字が4人にのぼるイタリアでさえ医療崩壊を起こしたのですから、インドのモディ首相が全土封鎖・外出禁止の措置をとったのはやむを得ないのかもしれません。こうした状況の中でアーユルヴェーダ医師たちやアーユルヴェーダクリニックはどうしているのかと思っていましたが、情報が一部入ってきました。

ドクター・パルタップのジヴァ・アーユルヴェーダも全業務が停止していましたが、2日前からアーユルヴェーダ薬の製造を再開しました。ヘルスケア関連製品は生活必需品だからです。ただ、物流が止まっているので製造したアーユルヴェーダ薬を配送することができないそうです。なんとかするとドクター・パルタップが言っています。

3月28日、モディ首相がAYUSH(アーユルヴェーダ、ヨガ、ユナニ、ナチュロパシー、ホメオパシー)関連機関やアーユルヴェーダ医師たちとオンライン会議をしました。モディ首相が真っ先に挙げたことは、保健家族福祉省が策定したテレメディスンに関するガイドラインでした。インドのアーユルヴェーダ界では遠隔医療(テレメディスン)が認められており、ジヴァ・アーユルヴェーダでは300人程度の医師がテレメディスンに当たっています。ジヴァの医師たちはテレメディスンをとおして国に奉仕したいと張り切っているそうです。

このオンライン会議ではアーユルヴェーダ医師たちからいろいろな意見が出ました。

ある医者は、10分間で完結する年齢帯別のヨガ・アーサナについて発言しました。ヨガはストレスや恐怖感を緩和する効果があります。

ある医者は、トゥルシ、ナガコショウ、ショウガ、グドゥチなど免疫力を高める医療用植物について意見を述べました。また、感染症パンデミック対応としてハーブによる燻蒸の有効性についても述べました。

ある参加者は、隔離中の新型コロナウィルス(COVID 19)感染患者にアーユルヴェーダ薬を投与してほしいとモディ首相に要望を述べました。感染症に対するアーユルヴェーダ薬の有効性や安全性についてエビデンスをとる好機との見解を示しました。また、インド国内にはアーユルヴェーダ医師80万人、アーユルヴェーダスタッフおよび「Asha」と呼ばれる保健師8万人がおり、パンデミックに当たっている政府に協力できると見解を述べました。

ある会議参加者は、中国でCOVID-19感染患者の90%に中医学薬を使用したことを述べました。注目すべきは、免疫力を高めるためだけに中医学薬が使用されたのではなく、現代医学の補助療法として使われたことです。インドにおいても免疫力を高めるためだけでなく、補助療法としてアーユルヴェーダを活用すべき意義を述べました。

その他さまざまな意見が述べられました。現代医療が脆弱なインドで感染爆発が起きたら手がつけられなくなります。私の推察ですが、モディ首相は今回の国難を乗り切るために、アーユルヴェーダを始めとする伝統医療を活用したいと考えているように思います。要注目です。

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