ハチミツの学びからアーユルヴェーダの奥深さを実感

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あるグループにハチミツの関するお話をすることになりました。そのグループはミツバチとハチミツに詳しい方々のグループなので、私がミツバチの生態やハチミツの成分について話しても釈迦に説法。ミツバチの生態なんて知らないですし。というわけでアーユルヴェーダがハチミツをどう論じているかをお話することにしました。

となると、アーユルヴェーダの古典書がハチミツについてどう書いているかを知らなければなりません。当校で「チャラカ・サンヒター」を教えてくれている加藤先生に「チャラカ・サンヒター」と「スシュルタ・サンヒター」のハチミツの個所のテキストを送っていただきました。

いや、もう、驚きです。その複雑で奥深いこと!現代では、ハチミツの質や味は花の種類によって分類されます。それが当たり前だと思っています。ところが紀元前の古代では、ハチミツの質や効力は蜂の種類によって分類されているのです。現代とは視点が違うのです。

しかも恐ろしいことが書かれています。 「温めたハチミツは致命的」とも 「ハチミツによってできたアーマを治療する方法はない」とキッパリ断言しているのです。私の夫はかつて朝食にハチミツを塗った食パンとアツアツのチャイを摂っていました。私は「その組み合わせはアーマをつくるよ」と言っていましたが、妻の言うことにはどこ吹く風。しかし、インドに行ったときにアーユルヴェーダ医から「アーマが溜まっていますね」と言われて、やっとハチミツとアツアツのチャイのセットを止めたのでした。しか~し!「ハチミツによってできたアーマを治療する方法はない」ですよ。ハチミツ由来アーマは一生、夫の消化器系に残るってこと?

イギリス統治下において壊滅的に抑圧されていたアーユルヴェーダは20世紀に復興され、今日に至っています。「チャラカ・サンヒター」や「スシュルタ・サンヒター」などの古典書が基本にあるのですが、古代から現代に至る長い歴史の中でアーユルヴェーダもいろいろな文化的変遷や他の医学の影響を受けて、ゆるやかに変化しています。ハチミツひとつとっても、花視点と蜂視点では分析が違います。

人間の暮らし方も現代と古代とでは違います。古代人もストレスはあったでしょうが、忙しさや情報処理必要量は全然違います。食べているものも全然違います。この違いをつねに念頭に置く必要があると、今回のハチミツの学びで思ったのでした。

それにしてもハチミツは奥が深いです。一般にハチミツは温性と考えられていますが、古典書によると、蜂の種類によって温性のハチミツがあったり冷性のハチミツがあったりします。軽性のハチミツがあったり重性のハチミツがあったりもします。ヴァータを増やすハチミツもあれば、ピッタを増やすハチミツもあります。複雑です。そうなるとですよ。古典書に書かれている蜂が現代にも存在しているのか不明なので、私が今日食べたハチミツがどういう質かわからないってことです。

どの種類のハチミツにも共通していることは、ハチミツには混ぜ合わせた物質・生薬の質や薬効を迅速に患部に届ける作用があることです。

ああ、複雑。

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