再び皮膚の話~アーユルヴェーダのアビヤンガを科学する

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先日のオイルマッサージの話に続いて、再び皮膚の話です。世間ではコロナ感染予防策として、一にも二にも三にもワクチン接種が叫ばれています。しかしワクチンは万能ではありません。ワクチンを打てば問題がすべて解決するというわけではありません。大切なのは免疫を高めることです。お名前は忘れましたが、免疫学だか感染症学だかの大学教授が、免疫機能を高める方法としてマッサージを勧めていました。もちろんアーユルヴェーダは免疫強化のためにアビヤンガ(オイルマッサージ)を勧めています。

なぜマッサージは免疫強化によいのでしょうか。一つは免疫細胞は血液の流れに乗って全身を巡るからです。マッサージすることによって血流がよくなり、免疫細胞の全身パトロールが強化されることになります。外部からの異物を迅速に発見できるというわけです。

加えて、桜美林大学の山口創教授は、皮膚に触れるケアの効果についてこう述べています。

  • 皮膚は触れられることで刺激を受け取る。
  • 刺激を受け取った皮膚は、その刺激を脳に伝え、自律神経のバランスを整えたり、オキシトシンを分泌させたりする。結果、自然治癒力を高める。
  • すると、自律神経、免疫系、ホルモンの働きにより、全身の臓器や筋肉などの活動を健康にするように全身を整える。

なるほど!

ケアする側は、触れることによって、皮膚がしっとりしているとか、カサカサしているということがわかるのです。ケアする側の手が目の働きをするのです。アーユルヴェーダの触診は「スパルシャナ」といいます。医者が患者の顔色や患部を目で見て診察する視診は「ダルシャナ」といいます。アーユルヴェーダの診察において触診と視診は大切な診察方法です。最近の現代医療のお医者さんたちは患者を診たり触れたりすることが少ないようです。見ているのはコンピューターのスクリーンです。「ちょっと違うんじゃない」と思います。

山口創教授は、最近発見された「C触覚線維」に注目しています。C触覚線維は快や不快、安心感や嫌悪感といった情動を喚起させる役割を持つとか。C触覚線維は、触れる速さが大事らしいです。実験によると、秒速3―10㎝で触れたときが最も活発になるそうです。山口教授の実験によると、患者の背中に秒速5㎝ほどでゆっくりと触れてみると、抑うつや不安が顕著に低下したそうです。

なるほど!

アビヤンガでもヴァータが乱れている人にはゆっくり施術しますね。不安感や抑うつ感はヴァータの乱れに関係しています。ヴァータが乱れている人にはゆっくり施術するということが科学的にも証明されたわけです。

アーユルヴェーダのアビヤンガの効果を科学的に証明することは大切な作業だと感じます。コロナ禍のいま、アーユルヴェーダサロンでアビヤンガを受けたり、セルフアビヤンガを定期的に行うことは必須ですね。

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