世界の動きからラーガ、ドゥエーシャ、アハンカーラを考える

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ウクライナの惨状に心が痛みます。今回の騒動の背景にはロシアとウクライナの長い歴史がかかわっており、今始まったことではなさそうです。

このツライ出来事を見ていますと、ヴェーダ哲学が言っている「ラーガ」「ドゥエーシャ」「アハンカーラ」を思わざるをえません。ラーガは「好き、欲望、執着」です。ドゥエーシャは「嫌悪」です。アハンカーラは「自我」です。

ジヴァのヴェーダ哲学者であるサッティヤナラヤナ・ダーサ・ババジは「人間の行動はすべてラーガとドゥエーシャが原動力となる」と言っています。私たちのすべての行動は好きか嫌いかで決まるのだそうです。

  • ケーキが大好きだから花粉症の症状がひどくなったとしてもイチゴケーキを食べたい⇒ラーガ
  • カレがキライになったから離婚したい⇒ドゥエーシャ
  • あの子は上から目線で気にくわないからイジワルしよう⇒ドゥエーシャ
  • カレを私に振り向かせたいのに振り向いてくれない。ぜったい振り向かせてやる⇒ラーガ

ロシアとウクライナの戦いも、もちろん長い歴史や政治や権力が関係しているのですが、それらの奥底にあるものはラーガとドゥエーシャです。「あの土地は我が国のものだ」「あの国に支配されたくない」というラーガとドゥエーシャの感情です。

日本でも在日ロシア人に対して「日本から出ていけ」と嫌がらせをしている人たちがいるそうです。ドゥエーシャです。

私たちはラーガとドゥエーシャから逃れられません。

そして、間違ったアハンカーラ(自我)も諍い(いさかい)を引き起こします。「俺はロシア人だ。ウクライナを支配する権利がある」という思いはアハンカーラです。

これが間違ったアハンカーラであるなら、正しい自我はなんでしょうか。

正しい自我は「私は魂である」という認識です。

この認識をもつのは非常にむずかしいです。ラーガとドゥエーシャから逃れることもできません。

しかし、ラーガとドゥエーシャとアハンカーラを弱める努力は必要だと思うのです。欲望、執着、嫌悪、間違った自我は苦痛の源だとヴェーダは言っています。そのために私たちは何をすればよいのでしょうか。

清浄な食べ物を心がけ、体の細胞を健康にし、ヨガと呼吸法(プラーナヤーマ)を定期的に行って心を静かにし、知性と理性を高めること。これが私たちにできることです。

ヨーロッパの思想は善と悪の二元論であり、一神教です。一方、日本やインドは多神教であり、特に日本は善と悪にスパっと分ける考え方ではありません。すべてをまるく包み込みます。なんだか中途半端だなと思うこともありますが、実はラーガとドゥエーシャとアハンカーラを弱める優れた考え方なのではないかと、ヨーロッパの騒動をみて思うのです。

★Dr.パルタップ・チョハン・ウェビナー★女性の生涯にわたる健康と美とウェルビーイング(3/12, 3/19)

Swastha Program~アーユルヴェーダと現代ヘルスサイエンスの統合

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